モペゾム・ド・思考

抽象性、無意味、無駄、

サルッツォ

昨晩、ラップランドがファミリーに拉致監禁されボコられる様を無限に想像して無限にシコっていたのであるが、いつの間にか寝ていたらしい。酒を飲んでもいないのに、その前後の記憶が抹消されていた。朝五時。オレはタンスに直すのを先送りにしていた服の上で寝ていた。このままでは素敵な服にシワが付くじゃないかと思って、いや、あるいはカーテンの間から射す弱い光に誘われたかで、枕のある位置に戻って行った。立ち上がったのだろうか?未だ平行は取り戻されておらず、体裁も判ぜぬ意識の薄闇で、俺は誰かの声を聞いた。

「部屋に誰かいるぞ」

声の元を辿ると、そこにはスマホがあった。最低照度に浮かぶその顔は、やけに端正なのにタラチオの声をしていた。

「俺は加賀美ハヤトの声で目覚めたのかもしれない」

ディスプレイを平撫すると忽ち静けさが取り戻され、俺は再び幽玄に入った。そのあと見た夢のことは覚えていない。