モペゾム・ド・思考

抽象性、無意味、無駄、

「ポップキュンてイラストレーターがさ、ライスシャワー描いたら『ポッピンシャワー』になんのかな」

──ならねえか、ハハ

 

会話はそこで終わっている。沈みゆく西陽が街を呑みつつある。私は背を向けながら歩いていた。鈍重な歩みで今日を忘れようとしていた。斜陽は次第に赤みを増し一層烈しく包むけれど街を呑んでいるのは実際闇の方だった。私は闇に招かれている。そうした家路はいつもより寂しい。沸々とやれなかったことが浮かぶ。闇の中。それに呼応して寂しさの増す。闇の中。私はいつも迷っている。家に帰るべきかそれともやり残したことを終えるべきか。やり残したこととはそれ自体別にやらなくても良かった。いつかやればよかった。ただいつかは必ずやらなければならなかった。それが早いか遅いかに根本的な違いはない。早いからといって早計でなく遅いからといって時機を逸したわけでない。表面上早いか遅いかというだけ。それだけは重大に質を異にした。そう思えば怠惰のなすがまま先送りにし続ける。YESとNOの大抵はNOの方が賢明なのだと。私は闇を早駆け家に帰った。