モペゾム・ド・思考

抽象性、無意味、無駄、

マスク下

 マスク下に卑猥の意味を込める風潮が今後起こるかについて、ただ感覚的にはそれを否定している。マスクがある意味の下着となり忌むべきものを隠す目的で用いられることはおよそ予想の通りであろうがただ私が現に感じる脱マスク状態への感覚的嫌悪は陰部に対するそれを遥かに超えている。それはその内なる存在が生命にとって善か悪か詰まり有益が有害かを問うときに我々の自然知るところ陰部の社会的有害さはともあれ人類種の本懐に必要不可欠な益体をなすものであるから嫌悪感の裡にはより巨大な固定観念が存在し一個の強制力を伴ってそれを肯定するものであるが対してマスク下の口吻には種の存続的な意味がまるで欠如しており却って有害な黴菌を撒き散らす禍根として存在するものに対し我々が肯定する余地はないのであった。

 しかしながら病理は本質的なものであり口の侵されたものは陰部も侵されるのであってこれらに本質的な価値はないけれどそれを余人が悟るほど賢明ではない点これらには決定的な意味の違いが存在するのではないか。