モペゾム・ド・思考

抽象性、無意味、無駄、

本学は濡れそぼる

 本学は雨に濡れる。否応ない寂しさが傘に閉ざされており、雨打つ音が忽ち止水を奪い去る。波状に広がりゆくは寂しさ乃至それに対する絶望である。ざわざわと心を満たしつつある不安と狂気が樋を伝って外へと流れ行くような、土瀝青から染み出て有り余るほどの、、、だがそれを受ける水利はどこにも見当たらない。

 人を嫌い、世を嫌い。常を嫌う者の地上。そういうものの送辞。そういうものの歌、そういうものの別れ。私は今日、本学を去る。四年余月の抱擁から、四年余月の安堵からの卒業。明るいことなど何も無い。私は死んだのだ。かつて無意味を分かち合った日々との惜別。何者でもなく、だからこそ自由たりえた、あの日々の絶滅だ。ああ、ああ、ああ。

 贋の笑みが零れゆくのだ…。
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